反対70万5585票 対 賛成69万4844票。
1万票差というとなんだか結構大きな差に聞こえるかもしれませんが、全体のうちわずか0.76%です。
グラフで見てみるとその僅差ぶりが一層よくわかります。
(引用:http://sci.tea-nifty.com/blog/2015/05/post-3432.html)
ごくごく僅差の結果となりましたが、1票でも多いほうに決まるという法的拘束力もあった住民投票ですから、負けは負けです。
それでは、なぜ負けたのか。
次の戦略のためにそれを考えていかなくてはいけません。
変化を恐れる気持ち
新しいことを始めたり今とは違う姿形になる。
こういう時に人間はやはり慎重になる傾向が強いです。
「大阪都構想って、結局何?」
「なんで今のままじゃダメなの?」
残念ながら今回の住民投票にあたって、我々の大前提であった"今の大阪(そして今の日本の地方都市)はもはや沈没寸前で、このままでは元気にすることができない"という認識が住民のみなさんに共有されていませんでした。
今でも食べていけるからいいじゃないか、なぜ20年も先のことに今から取り組まなくてはいけないのか、という単純化された感情で、変化を起こして失敗したら怖い、という不安をうまく反対派は利用したと思います。
特にこの傾向は年代が上になればなるほど顕著に現れていたことが開票結果からも明らかでしたし、私もたくさんの高齢者の皆様からそういう声を直接聞きました。
新しいことを始めるのはほんとうに大変なことです。
自民党と共産党がタッグを組むという異常な光景
安部総理や菅官房長官はじめ、政府や自民党関係者から大阪都構想に賛同する趣旨の発言がなんども報道されたとおり、自民党も民主党も党本部やその要人たちは賛成する意見が少なくありませんでした。
それなのになぜ、大阪でだけは自民党も民主党も公明党も、そして共産党までもが一致して都構想に反対していたのか理解に苦しみます。
党本部や政府の方針に反して、地元ではご丁寧にこんなポスターまで。
写真を撮ることはできませんでしたが、安部総理の写真に「自民党は都構想には反対です」という、でっち上げもいいとこのポスターもありました。
住民投票といえども選挙みたいなものです。
選挙はやはり、なんだかんだ言っても意のままに動かせる人数を持った組織があると有利に働きます。
組織を持つ大阪自民党が、これまた独特の組織を持つ共産党と組めば、これは人数的にはかなりの脅威ですし、実際その組織力は眼を見張るばかりでした。
しかし、共産党および左翼お得意のデモ的な 隊列に自民党ののぼり旗も立っている光景、共産党の街宣車に自民党国会議員が乗っている光景は、ハッキリ言って異常を通り越して狂気を感じました。
しかし、この組織力がモノを言うわけです。
住民投票の難しさ
新しいことを始めることへの不安や臆病さは上に記しましたが、それに加えて新しいことを始めるときにそのメリットや効果を説明することがとても難しいこともあげられます。
「都構想のメリットは一言で言えば何だ?」
「実現したら大阪はどのように良くなるのか?」
「市がなくなってほんとうに大丈夫なのか?」
新しいことを提案するためにはこうした問いに逐一丁寧に答えていくしかありません。
橋下市長も松井知事も、一日になんどもたくさんの市民のみなさん相手に説明を尽くしていましたが、2時間かけてようやくわかってくれる。
効率がとてつもなく悪いのです。
一方で反対派がよく喧伝していた"デマ"には次のようなものがありました。
「賛成したら税金が高くなる」
「賛成したら年金がカットされる」
実際に何人の方からこうしたことを質問されたことか。
提案側は懇切丁寧に2時間も3時間もかけて説明をしなくては理解されず、一方反対側はワンフレーズで様々なデマで反対意見を吹聴する。
非常にこの戦いは難しい戦いだと感じました。
憲法改正も、この教訓を活かすとすれば相当なハードルがあると考えなくてはいけません。
橋下応援かアンチ橋下か
橋下市長はマスコミの前で「否決されたら政界を引退する」と表明しました。
私は深遠なる橋下市長の思いは知りませんし、誰がどういう戦略を立てていたのかはわかりません。
ただ、私の感じた雰囲気では退路を断つことで政治家橋下徹への期待票を掘り起こそうとした感じを受けました。
実際にそれで賛成に投じられた票もあったと思いますが、実はその退路を断つことで相当なアンチ橋下が「負けたらいなくなってくれるのか!」 と熱が入ったことも実際は敗因の一つではなかったと思います。
やはり出た。「自分は投票行かなくてもいいや」病
これが一番残念でした。
開票結果が出たあとのローカルTVで、たくさんの若者たちが否決されたことを知り
「賛成したかったが自分が行かなくても大丈夫だろうと思って行かなかった」
「こんな結果になるなら投票に行っておけばよかった」
と答えていました。
これだけの大きな課題でも結局そうなのか、と残念で仕方ありませんでした。
「自分一人が言ったって行かなくたって変わらないから」というあきらめが、実はそんなことないということが今回の僅差の結果でわかったのではないかと思います。
次回の選挙からはこれを活かして、関心があろうがなかろうが、どうか投票には参加してもらいたいと思います。
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