消費税増税の議論、崩壊が目に見えているのに解決策が見いだせない社会保障制度の議論。特に国会で行われている議論に判然としないことが多かったのですが、ある本を読んでいてようやくすっと腑に落ちる表現がありました。
それは、今の政治や政治家が未だにこれからの成長するという前提でしか物事を考えていない、ということです。
若い世代がお年寄りの世代を支える年金制度、一度始めたらやめられないとわかっていながら増えていく行政サービス、異次元と言われる金融政策でインフレを起こそうとする日銀(と政府)・・・。
それらはすべて、前提はこれからも人口が増え、経済は拡張するという幻の上に立っています。
私は基本的に、人間というのは欲望を持っており、この欲望を満たそうと努力することが社会の発展につながっていくのだと考えています。もっと早く移動したい、もっと快適に過ごしたい、もっと便利になりたい、そしてもっと早く走ったり高く飛びたい・・・。こういう欲望や欲求が人間と社会を成長させてきました。
しかし今、少しだけその価値観が変わりつつあります。モノを所有しそれがステータスであった高度経済成長期には考えられなかった、シェアリングやミニマリストの観念はその典型かもしれません。
いつまでも物を作れば需要が追いついてくるという幻想は捨てて、新たな経済モデルを作っていく必要があります。しかも人口はこれから確実に減っていき、マーケットも小さくなり、消費者も減っていくわけですから。社会制度でいえば、納税者も減っていく。
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日本はかつて、欧米諸国が大航海時代に入って膨張を目指した時も、小さな島国で独特の発展を遂げてきました。決して欲望をおさえていたわけでも、成長を拒んでいたわけでもなく、高い文化を育み、豊かな暮らしを、そして平和に暮らしていました。決して江戸の暮らしに回帰せよというわけではありませんが、このかつての日本の知恵が新たなモデルの参考になるはずです。
人間には欲望があり、それが成長の源であるという真理と、それでも時代はこれから成長拡大の時代ではないという現実を見据えながら、あらたな国のあり方をこれから具体的な政策に落とし込んでいきたいと思います。
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