私が道州制を訴える時、一番多く質問をいただくのが、「いくつの道州に分かれて、自分たちの県はどうなるのか」ということです。確かに、自分の住んでいる地域がどうなるのかということに一番関心が高まるのは当然のことだと思います。
現在道州制をめぐって様々な区割り案が出ていますが、おおまかに言えば10から14の道州に再編するという案が主流です。東京を特別州にするかどうかや、関東と中部の間にある静岡県をどちらに入れるかまたは分割するか、東京の他にも名古屋や大阪も特別州とするか、などが主な違いです。
私が望ましいと思う区割りの形はもちろんありますが、それは優先されるべき議論ではないと思っています。道州制の議論が、総論賛成・各論反対に陥りやすいのが、この区割り案から議論されることが多いからです。あっちはいやだとか、この方がいいとか、形から入るとどうしてもデッドエンドにぶち当たってしまいます。
今の47都道府県制も、幕藩体制から移行する時にまずは日本を中央集権体制にしなくてはいけないという総論から結論を出し、その後「エイヤ」で線引きをしましたが、道州制の区割りもその方式しかないと思います。
ですので、自分たちの地域が何州になるのか、という関心よりも、そうなることで日本や自分たちの地域がどう変わるのか、に目を向けてもらえるようにしていかなくてはいけません。
ちなみに、今代表的に言われている12の道州に再編する案を、そうはいいながらも記しておきます。
道州 | 人口(万人) | 現在の都道府県 |
北海道 | 562.7 | 北海道 |
東北州 | 963.4 | 青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県 |
北陸信越州 | 773.9 | 新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県 |
北関東州 | 1406.9 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県 |
東京特別州 | 865.1 | 東京23区 |
南関東州 | 1965.1 | 千葉県、神奈川県、山梨県、東京都下 |
東海州 | 1501.6 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
関西州 | 2089.3 | 大阪府、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
中国州 | 767.5 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
四国州 | 408.6 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
九州 | 1471.3 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
沖縄州 | 136.1 | 沖縄県 |
この区割りの場合、例えば東海州だけでも韓国やメキシコのGDPと匹敵するほどの域内総生産があります。東京特別州や南関東州、関西州などはもっと上位に位置していますから、道州がもっと自由に柔軟な経済政策ができるようになれば、域内総生産が上がり、結果的に日本全体のGDPが底上げされます。
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