20XX年−日本に「地域主権型道州制」が導入されてから十数年が経過した。もはや都道府県はなく、日本は12の道州から構成されている。そして、市町村も新しい市として生まれ変わった・・・
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この文章から始まる江口克彦参議院議員による「地域主権型道州制がよくわかる本」。
道州制について一番良くわかる書籍だと思います。
この本の第1章に、「なぜ道州制なのか」「道州制が実現すればどう日本が変わるのか」「果たして道州制は日本の未来にとっていいことなのか」といった疑問に応えるエッセンスが、20XX年の道州制が実現している未来の視点で語られています。江口克彦参議院議員は松下幸之助塾主の側近でもあり、松下幸之助塾主が切実に訴えていた道州制についての大家でもあります。
そこにはこうあります。
20XX年の日本では、国の仕事は、外交・安全保障・通貨の他に年金などの基本的な社会保障にとどまり、それまで国の仕事だった経済政策や社会資本の整備は道州の仕事になった。市の仕事は、教育や福祉など住民に密着した行政サービスの提供だ。47の都道府県は12の道州に再編成され、市などの基礎自治体も、15万〜40万人の規模で生まれ変わった。
こうして国と地方の形が変わることによって、それまでは(今の日本)東京に全てのものが一極集中し地方を犠牲にしながら東京だけが繁栄を続けていた日本が生まれ変わったのだと主張しています。イメージはEUのように、いくつもの元気な国(日本では道州)が特徴をもって日本を形作る「多中心国家」のイメージです。
道州制の肝は、この、多中心にあると思います。
私はこれを、「エンジンを増やす」と表現しています。日本には今、東京というたったひとつのエンジンしかないからイマイチ元気が出ない。一昔前なら一つの巨大で性能の良い東京というエンジンで世界に太刀打ち出来たけれども、これからはたくさんのエンジンで日本を牽引していくべきです。東京ほどの大きなエンジンである必要はありませんが、性能の良い小型エンジンを日本中に作っていくことが、道州制の一番の眼目です。
単に都道府県の呼び名を道州に変えるのではなく、いかにエンジン化できるか。私はこの道州制の実現こそが、日本の未来、地域の未来を明るくするものだとこれからも訴え続けていきます。
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